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インターネットのビジネス再入門|後編:消えるデジタルとリアルの境界線

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これまでのおさらい

第一回の『インターネットの広告をちゃんと理解する』ではインターネットのビジネスの側面を支える広告について改めて振り返りました。インターネットが「道」であれば、情報やサービスは「クルマ」、そして広告はその「燃料」であり「石油」だと解説しました。そして、お金を対価として支払う代わりに、インターネットでは個人情報とサービスを対価交換していることを確認しました。

第二回の『インターネットの「石油」を規制する動き』では個人情報の取得が制限されつつあることを解説しました。個人情報の取得には二種類あって、一つはFacebookなどIDでの取得、二つ目がCookieによる行動データの取得でした。ケンブリッジ・アナリティカによるFacebookデータ流出事件は広告が悪用されるダークアドの危険性を世に知らしめるものでした。

今回はデジタルとリアルの境界線が広告の世界でも曖昧になっていくという話です。Buzzword的にはOMO(Online Merge Offline)ですね。規制は続くでしょうが、デジタルビジネスの勢いはそう簡単に止まることはないですし、拡大は続きます。(だからこそ規制が大事なんですが)

なくなるデジタルとリアルの境界線:プログラマティック

デジタル広告とリアル広告の最大の違いは個人の嗜好に対応できるかどうかです。個人の嗜好に対応するためにIDやCookie情報が必要なんですものね。リアル広告は個人の嗜好には対応できませんが、不特定多数に一気に配信するためにマス広告と呼ばれたりもします。マスメディアとデジタルメディアの違いと一緒ですね。

リアル広告をデジタル化するキーワードがプログラマティックです。

プログラマティックテレビ

テレビの広告はデジタルでしょうか、リアルでしょうか?昔ながらのテレビ広告はデジタルではありませんでした。デジタルではないので、計測が非常に難しかった。だからニールセンなどが特別な機器を選ばれた世帯に取り付けてもらってサンプル調査をしています。これが、いわゆる「視聴率」です。

テレビの広告はインターネットのデジタル広告と違って、特定の視聴者の好みに合わせて特定のCMを流すことができません。同じ番組を見ていれば同じCMを見ています。これだとCMの枠は決まってしまっていて、多額の予算を持った企業しかテレビでCMを流すことができません。この問題を解決して、視聴者の嗜好に合わせて様々なCMを流せるようになる仕組みが「プログラマティック広告」です。

テレビCMを動画広告と考えると、YouTubeの広告とあまり変わりません。Webサイトに埋め込まれた動画広告も同じです。プログラマティックではテレビが広告チャネルとして加えることができるようになります。海外ではプログラマティックの流れはかなり進んでいますが、日本のテレビ局はまだ対応できていません。それでもテレビを含む動画媒体は全てプログラマティックになるでしょう。その時にデジタルとリアルの境界線は無くなります。

プログラマティックデジタル野外広告(DOOH)

ブリティッシュ航空がリアルとデジタルを融合した野外広告"Look Ups"を設置して話題になりました。これは実際に見てもらうのが早いでしょう。

ブリティッシュ航空の飛行機が広告を横切ると、子供が立ち上がり飛行機を指さします。そして、その飛行機のフライト番号までわかります。これがDOOH(Digital Out-of-home|デジタル野外広告)の代表例です。

このようなデジタル野外広告がテレビと同様にプログラマティック(プログラマティックDOOH)になると個人の嗜好に合わせた野外広告が実現されます。例えば、目の前の人の嗜好に合わせたデジタルショーケースなどです。