最近、このカタパルト式スープレックスで集中的に取り上げているのが電気自動車とブロックチェーンです。この二つを調べていくと共通点があります。それはビットコインも電気自動車も電気を食うということです。
ビットコインも電気自動車も電力を食う
ビットコインの場合
ビットコインを運営するにはコンピューターによる計算が必要です。つまり、そのコンピューターを維持するための電力が必要です。これが莫大な電力消費量となっています。ビットコインを国だとすると世界で62番目に電力消費量が多い国(デンマークとセルビアの間)ということになります。イギリスの全電力消費量の10%くらい。ビットコインはヨーロッパの20の国より多く電力を消費しています。
当然ながら、この問題を解決しようとする動きがたくさんあります。マイニングをもっと効率化する方法や、マイニングが必要ない方法が模索されています。イーサリアムのキャスパーから導入がはじまるPoSやIOTAがそれです。IOTAでは計算処理はエッジで行われるため、大規模なマイニング施設は基本的には必要なくなります。
電気自動車の場合
電気自動車もガソリンやディーゼルエンジンと比べて環境に優しいというイメージがあります。電気自動車自体は環境ガスを出しませんが、その動力となる電気は発電所で作られています。電気自動車の普及でイギリスでは全体で15%、ピーク時で最大40%の電力消費が増えると考えられています。テスラのトレーラーも当然ながら電気がたくさん必要になる。
IEA(国際エネルギー機関)が11月に発表した年次報告書「世界エネルギー展望(World Energy Outlook)」の2017年版は、2040年に世界のEV保有台数は2億8千万台まで膨らむと予測している(現在の世界の自動車保有台数は約13億台)。 そして、日量250万バレルの石油消費の削減効果があるとしている。だがこれは、日量9200万バレルという現在の世界の石油消費量の3%にも満たない。
『電気自動車は石油消費を減らせない?』石油経済研究会 大場 紀章
ビットコインと電気自動車に共通する電気の問題
電気自動車が本当の意味で環境に優しくなるためには、発電、送電と配電、電気の再利用、モビリティーの再定義のといった複数の解決が求められるでしょう。
「発電」は太陽光発電や風力発電などの環境に優しい発電へのシフト。まあ、これはわかりますよね。
「送電と配電」は環境に優しい発電方法がきちんと供給網に乗ること。電気は作っただけではダメで、ちゃんと家や工場に届けないといけない。その供給網の問題。ソフトバンクの孫さんが問題視しているのはこの部分ですね。エネルギーの事業者がクリーンエネルギーで参入しても送れなければ意味がない。
「電気の再利用」は作った電気をちゃんと使い切ること。無駄をなくすこと。使ってない電気をバッテリーに貯めたり、それを近所に売ったりということです。以前に掲載したブロックチェーンによるIoT事業にはそういう意味があります。ブロックチェーンは電力のシェア経済にも役に立てる可能性があります。
「モビリティーの再定義」とはクルマの所有から共有への移行を意味しています。そもそも消費量を下げることもできるのではないかということです。クルマの自動運転が普及すればクルマを運転する意味が大きく変わります。以前にインタビューで紹介したフランスのBlaBlaCarは個人に所有されたクルマの共有でした。Uberも基本的にはそうですよね。
でも、クルマが自律的に動けるスマートマシンになればクルマが必要とする人を見つけて行きたい場所へ運ぶことができます。そうすればクルマの需要は最適化されて必要なクルマの台数も最適化されると想像できます。
また、電気ではないエネルギーの利用も検討すべきなのでしょう。小型車での水素燃料は燃料のサプライチェーンを考えると普及には時間がかかると思いますが、電車や長距離輸送のトラックやトレーラーなどには使えるのではないでしょうか。
アンリーディングはインプット [reading] に対するアウトプット [unreading] の意味で使っています。カンファレンスに対するアンカンファレンス。コーディングに対するデコーディングのようなもの。カタパルト式スープレックスの造語です。英語のアンリーディング [Unreading]はそのままの意味だと「読まないこと」という意味になります。
このブログのためにいろんな本や情報を読みます。その中で有用だと感じた記事については翻訳して紹介しています。たくさんのインプットがあると、それを咀嚼してアウトプットとしても出したくなってきます。
なんでカタパルト式スープレックスでコレらの記事を翻訳して出したのか。その思考をアンリーディングとして解説していきます。