カタパルトスープレックス

イノベーションに効く世界の情報を日本語で

書評

書評|プログラマーという人たち|"Coders" by Clive Thompson

職業には特定のイメージが付きまといます。弁護士は硬いイメージ、ホストはチャラいイメージ。今回紹介するクリーヴ・トンプソンの"Coders"はプログラマーに焦点を当てて、どんな人たちなのかを描いていきます。プログラマーも内向的でコミュニケーションが…

書評|イノベーションは文化でなく仕組みで作る|"Loonshots" by Safi Bahcall

イノベーション推進の取り組みを行っている企業はたくさんあると思います。組織の外から取り込むこともあります。スタートアップを買収したり。また、組織の内側から変える取り組みもあります。アジャイルやリーンスタートアップに取り組んだGEなんて代表例…

書評|「価値」と「生産性」の再定義|"Value of Everything" by Mariana Mazzucato

日本は生産性が低いといわれていますが、それは本当でしょうか。 生産性の計算は労力や資本といったインプットに対して、どれくらい価値を生み出したかというアウトプットから算出されます。では、そのアウトプットである「価値」ってなんでしょう?一般的に…

書評|独占禁止法の歴史から現代のGAFA寡占と経済の停滞を検証する|"The Curse of Bigness" by Tim Wu

多くの人は世の中を悪くしてやろうなんて考えてないですし、その人たちなりの正義に基づいて行動しています。ある人にとっての正義が、別の人の正義ではないというだけです。それはこれまで散々もてはやされていたGoogleやFacebookが、ここ最近は悪者として…

書評|脳から見た人間と社会の関係|"Social" by Matthew Lieberman

最近はソーシャルメディアに対して批判的な意見が多く出てきています。ソーシャルメディアがなぜ有害なのかを論じる上で、人間と社会の関わり合いを科学的に説明すると感じる論者は多いようで、今回紹介するマシュー・リーバーマンの著書"Social"(日本語タ…

書評|FBIのデザイン思考的な交渉術|"Never Split the Difference" by Chris Voss and Tahl Raz

映画『交渉人』は濡れ衣の罪を晴らすために人質をとって立てこもるシカゴ警察東分署交渉人(ケヴィン・スペイシー)と人質開放の交渉を引き受けたシカゴ警察西分署の交渉人(サミュエル・L・ジャクソン)のやり取りが素晴らしい映画でした。 今回紹介する書…

書評|Facebookではスパークジョイしない!デジタル断捨離のススメ|"Digital Minimalism" by Cal Newport

コンマリこと近藤麻理恵さんはすごいですよね!アメリカでも大人気です。アメリカの価値観の基本は「消費」であり「ショッピング」です。足し算の生活。コンマリはスパーク・ジョイ(心がときめく)という非常にわかりやすいキーワードで断捨離(引き算の生…

書評|GoogleやFacebookをみる新しいレンズとしての監視資本主義|"The Age of Surveillance Capitalism" by Shoshana Zuboff

ここ数年、AIの危険性やGAFAの過度の影響を警戒する書籍がベストセラーに増えてきました。例えばキャシー・オニールによる"Weapons of Math Destruction"(邦題『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』)は現場で実際にプロジェクトに携わ…

書評|「チーム人間」対「チームアルゴリズム」|"Team Human" by Douglas Rushkoff

最近のテクノロジーや技術革新に関する書式は楽観的な「世の中よくなってる派」と悲観的な「世の中あまりよくなってない派」に分かれます。「世の中よくなってる派」の代表は『ファクトフルネス』のハンス・ロスリングや"Enlightenment Now"のスティーブン・…

書評|アメリカ海軍特殊部隊から学ぶデザインとリーダーシップ|"The Dichotomy of Leadership" by Jacko Wilink

企業ではいろんな事業やプロジェクトに取り組みますよね。中には、その企業の存続を左右するようなプロジェクトもあるかもしれません。でも、人は死にませんよね。会社が倒産して、そのために社員が路頭に迷って、間接的に人の生死を左右することはあるかも…

書評|日本ではわかりづらいRedditを理解するためのテキスト|"We Are the Nerds" by Christine Lagorio-Chafkin

Redditって有名だし、英語圏でビジネスをするならチャネルとしても無視できない。2019年1月時点でのAlexaのランキングでは18位。FacebookやTwitterのような定番以外にグロースハックをやるならRedditは検討しなければいけないチャネルの一つです。Reddit hug…

書評|自分のペースで仕事をする大切さ|"It Doesn't Have to Be Crazy at Work" by David Heinemeier Hansson and Jason Fried

いきなり個人的なことですが、ボクは最近になって日本企業で働いています。これまでずっと外資系企業に勤めたり、海外でスタートアップやったりしていたので、日本企業で働くのは本当に初めてのことです。で、これが驚くほどに快適なんですね。なぜかといえ…

書評|スタートアップとベンチャーキャピタルの関係を説明したバイブル|"Venture Deals" by Brad Feld, Jason Mendelson

スタートアップ界隈では尊敬されている人たちがいます。今回紹介する"Venture Deals"の共同著者のブラッド・フェルドはその一人です。コロラド州のボルダーはスタートアップの活動が活発ですが、そのスタートアップコミュニティーを立ち上げる主役の一人がブ…

書評|現場のiPhone開発者が見たAppleの創造力の源泉とは?|"Creative Selection" by Ken Kocienda

Appleの株価は2018年8月に米国史上初の時価総額が10億ドル(1000億円)を超えました。そして、同年10月をピークにして、2019年1月にはアメリカで一位から三位まで転落してしまいました(一位はアマゾン、二位はマイクロソフト)。 Appleの想像力の源泉と言え…

書評|オッサンの言ってることは意外と正しいんじゃないか?|"Lab Rats" by Dan Lyons

今回紹介する著書のダン・リオンズさん。見ての通り、オッサンです。ずっと編集畑を歩んできて、リストラされる。心機一転、スタートアップ(Hubspot)の世界に飛び込んだもののやっぱりリストラ。スタートアップめ!ざけんじゃねーぞ!とスタートアップ界隈…

書籍|本当のマーケティングの話|"This is Marketing" by Seth Godin

顧客起点とよく言いますよね。本来であれば「マーケティング」というのは顧客のことを理解して、顧客が求めるものを作り、届けることです。「営業」は顧客の困りごとを理解し、その困りごとを解決する方法を紹介することです。 つまり、顧客起点とは顧客への…

2018年和書ベスト3冊|ベスト・オブ・2018

このブログのコンセプトは「イノベーションに効く世界の情報を日本語で」なので、日本の情報は取り扱いませんし、日本語で書かれた和書も取り上げません。それでも、ボクは日本人なので日本語で書かれた書籍も買いますし、読みます。英語の本に比べるとかな…

2018年洋書ベスト5冊|ベスト・オブ・2018

2018年に出版された英語圏の書籍で目立つトレンドをカタパルトスープレックス 的に総括すれば「揺り戻し」ではないかなと思います。『リーンスタート・アップ (原題:Lean Startup)』をさらに押し広げた『スタートアップ・ウェイ(原題:Startup Way)』や…

書評|『ブラック・スワン』脱落組がナシーム・ニコラス・タレブに再挑戦|"Antifragile" by Nassim Nicholas Taleb

ボクは本をいっぱい読むほうだと思いますが、頭がいいとは言えません。難しい本とか全然理解できません。その代表例がボクにとってはナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』です。もちろん、その骨子はわかりますよ。白鳥は白いと思っていたら突…

書評|OMOの生みの親が至るAIと愛の境地|"AI Superpowers" by Kai-Fu Lee

頭のいい人はフレームワークで考えて整理整頓するのが非常に上手です。今回紹介する"AI Superpowers"の著者であるカイ=フー・リーもその例に漏れず、AIを中国とシリコンバレーで比較するという入り組んだ題材をうまく整理しています。OMOというキーワードが…

書評|郊外から広がったヘロインとの戦い|"Dopesick" by Beth Macy

多くの日本人にとって麻薬とか覚せい剤とかコカインとかヘロインってピンとこないですよね。テレビや映画で出てくるもの。そういう意味ではアヴェンジャーズと変わらない。これがアメリカだとドラッグは日常とさほど離れていない存在となります。特に、都市…

書評|ダークウェブとビットコインを使った最大の犯罪のドキュメンタリー|"American Kingpin" by Nick Bilton

史上最大のダークウェブでの犯罪といえば闇売買サイト「シルクロード」ですね。このシルクロードについて日本語で一番詳しい記事はザ・ゼロワンの連載記事「史上最悪の闇サイト「Silk Road」黒幕裁判」でしょうか。ボクもこの連載をドキドキしながら読みまし…

書評|Google CEOのラリー・ペイジからU2のボノまで、豪華な朗読陣のビジネス書|"Measure What Matters" by John Doerr

ボクは洋書は基本的にオーディオブックで聞いています。オーディオブックは著者自身が朗読することがありますが、そんなオーディオブックを聞くと何だか得した気分になります。書いている本人が直接語りかけてくれるのですから。 ジョン・ドーアによるベスト…

書評|Googleも超えられない男性天国シリコンバレーの闇|"Brotopia" by Emily Chang

シリコンバレーというとイノベーションの中心地というイメージがありますし、実際にその役割を担っている部分もあります。しかし、全てパーフェクトなものはありませんし、それはシリコンバレーとて例外ではありません。 シリコンバレーは特に白人男性社会と…

書評|それでも世の中は良くなっていると言い続けないければいけない理由|"Enlightenment Now" by Steven Pinker

色々な事件が毎日のように起きます。世の中は良くなっているのか、悪くなっているのか?悪くなっているのだとしたら、進歩って意味があるのか?そういうことを考えたことがある人は少なくないのではないでしょうか。あのイーロン・マスクですら運命論者にな…

書評|Amazonから学ぶ4つのビジネスの成功要素|"Be Like Amazon" by Jeffrey Eisenberg

実証されていないイノベーションやビジネスモデルはワクワクします。将来のことだから。株価も将来の期待によって上下します。顧客や従業員を中心に考える企業は投資家からみれば、利益という自分の分前を取られていると感じますし、ワクワクしないのであま…

書評|新しい一般教養としてのビッグヒストリー|"Origin Story" by David Christian

日本における「一般教養」とはなんでしょうか。答えられる人はあまりいないのではないでしょうか。日本で「一般教養」は体系化されていないので誰も説明ができないのが残念なところです。しかし、世界にはすでに「一般教養」が体系化されているので、それを…

書評|クソみたいなことを気にせず幸せになる|"The Subtle Art of Not Giving a F*ck" by Mark Manson

I don't give a fuckというのは「そんなクソみたいなこと気にしねーよ」という意味です。 The Subtle Art of Not Giving a Fuckとは「クソみたいなことを気にしなくなるような小ワザ」という意味ですね。 クソは必ず道に落ちている。どのクソを気にして、ど…

書評|ハリネズミとキツネの大戦略|"On Grand Strategy" by John Lewis Gaddis

「戦略」という言葉はビジネスでも使われますが、元々は軍事用語です。第二次世界大戦以降は武力を使った大きな戦争は以前と比べて少なくなりましたが、戦略の重要性は低くなるどころか益々高まっています。 今回紹介する"On Grand Strategy"はアメリカの歴…

書評|AIとハサミは使いよう「あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠」|"Weapons of Math Destruction" by Cathy O'Neil

AIに関しては人間の役に立つと考える「肯定派」と人間をダメにする「否定派」があり、多くの人は態度を決めている「様子見派」なんじゃないかと思います。AIは所詮はツールなので使いようで、人に役立つこともできれば、人に危害を加えることもあります。包…