カタパルトスープレックス

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書評

書評|ハマるしかけの次は、ハマらない時間管理|"Indistractable" by Nir Eyal

集中したい、でも集中できない。悩みは古今東西同じです。特に最近は「アテンションエコノミー」などと言われるように、人の注意力を引きつけることがビジネスにとっても重要になってきているため、あの手この手で誘惑してきます。人の注意を引きつけて虜に…

書評|人工知能はパロディではなくオリジナルを作れるか?|"The Creativity Code" by Marcus du Sautoy

前回紹介した"Possible Minds"では「人工知能は人間の知能を超えるのか?(技術的にはAGIまたは強いAI)」を様々な観点から考察していました。インテリジェンス(知能)とはどういうことなのか?具体的にどのような状態になればシンギュラリティに到達したと…

書評|知的好奇心を刺激する触媒としての人工知能|"Possible Minds" by John Brockman

宇宙旅行に空飛ぶ自動車。昔から未来予想は夢がありますが、実現するかどうかはわかりません。ある種の思考実験ですよね。人口知能がどこまで人間に近づくのか、人間を超える存在になるのか。人工知能に関する議論も同じです。昔の少年雑誌の未来予想と現在…

書評|ポリマスの時代を生きるためのスキル|"Ultralearning" by Scott H. Young

ポリマス(Polymath)の時代と言われています。何か一つに特化した専門家ではなく、多彩なジェネラリストがポリマスです。代表例がレオナルド・ダ・ヴィンチですね。新製品開発のディレクションやってると、幅広い知識やスキルが必要になってきます。マーケ…

書評|合法と非合法、正義と悪の境界線が曖昧な海の世界|"The Outlaw Ocean" by Ian Urbina

飛行機から見える景色はほとんど空か海ですよね。海って広い。海は地球の表面の70%以上だから当然ですよね。地上だってわからないことだらけなのに、海はもっとわからないことだらけ。そんな海の魅力に魅せられて、世に伝えたいとニューヨーク・タイムズで調…

2019年上半期洋書ベスト3:資本主義とジェンダー

人気のある書籍の傾向は去年から引き続きスタートアップ的なイノベーションへの批判、行き過ぎた新自由主義、ジェンダーの三つですね。スタートアップと新自由主義はセットになって批判されることが多いですね。その際にピーター・ティールが必ず引き合いに…

2019年上半期和書ベスト3:任天堂関連書籍二冊と橘玲さんの『上級国民/下級国民』

Photo by Tom Fisk from Pexels 洋書の書評ばかり書いていますが、日本の書籍も読みます。今年前半に読んだ和書で特に印象に残ったのは任天堂関連の二冊、『岩田さん』と『「ついやってしまう」体験の作り方』です。 ずっと、「なんで任天堂はスマホシフトし…

書評|ストリーミング以後の音楽経済|"Rockonomics" by Alan Krueger

アラン・クルーガーはクリントン政権とオバマ政権で経済政策担当財務次官補として経済のアドバイスを提供し、大統領経済諮問委員会の委員長も務めた経済学者です。専門分野は計量経済学で、理論よりデータを重視しました。そんな彼の遺作が彼が深い関わりを…

書評|次の経営バズワード「フライホイール」|Turning the Flywheel by Jim Collins

おそらく、次の経営のバズワードとなるのが「フライホイール」です。アマゾンの成功の秘訣として有名になりつつあります。簡単に言えば、成功の循環サイクルです。フライホイールの名付けの親がアマゾンの戦略コンサルタントを務めていたジム・コリンズです…

書籍|炎上する若者と批判する大人、早咲きの棋士と遅咲きのハリポタ|"Late Bloomers" by Rich Karlgaard

2019年に9歳で最年少棋士となった仲邑菫さんなど若くして才能を開花する人たちがいます。一方で、インスタグラムやツイッターでのバイトテロなど浅はかな行為で炎上してしまう人たちもいます。最近だとレペゼン地球とジャスミンゆまのパワハラやらせによる炎…

書評|クラッシーでスタイリッシュでわかりやすい文章を書く|"Dreyer's English" by Benjamin Dreyer

ボクは仕事の関係上、英語と日本語の両方で文章を書く機会があります。チャットもします。メールは毎日書きます。文章も報告書のような短い文章から、戦略書のような比較的長い文章も書きます。このブログもそうですね。何かを書く場合、自分以外の誰かに伝…

書籍|脳で語られる男女の差はほとんどウソ|"The Gendered Brain" by Gina Rippon

Aは〇〇で、Bは〇〇のようなレッテルはわかりやすく、話題にしやすいですよね。「日本人は」とか「外国人は」とか。女性は直感的で、男性は論理的。女性は地図を読むのが苦手で、男性は話を聞かない。そんな本も出ているくらいです。そんな男女脳のカジュア…

書評|日本にいま必要なのは自己憐憫を止めて冷静に分析する勇気|"Upheaval" by Jared Diamond

文明の誕生をテーマにした『銃と鉄と病原菌』と文明の崩壊をテーマにした『文明崩壊』に続くジャレド・ダイアモンドの新著のテーマは「苦難」でした。人類の歴史をテーマにしたものはユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』と『ホモデウス』で引き継い…

書評|ボクたち自身が問題の一部かもしれないことに気づこう|"Winners Take All" by Anand Giridharadas

ハンス・ロスリングが『ファクトフルネス』で解説してくれたように、マクロの視点で見れば世の中はよくなっています。飢えで苦しむ人たちはだいぶ減りましたし、学校に通う女性も増えました。それでも、悲しいニュースが溢れています。悲しいニュースの多く…

書評|日本のスタートアップが海外のVCから投資されない理由|"Secrets of Sand Hill Road" by Scott Kupor

業界にはそれを象徴する中心地があります。映画の象徴がハリウッドで、金融の象徴がウォール・ストリート(イギリスのシティでもいいですが)であるように、ベンチャーキャピタルの象徴がシリコンバレーにあるサンド・ヒル・ロードなのだそうです。 最も有名…

書評|天才は回り道をしながら遅れてやってくる|"Range" by David Epstein

幼年期からの英才教育。タイガー・ウッズやチェスのポルガー姉妹のように特定の分野を小さなころから徹底的にやりこんだ天才たちを例にとって、専門教育に取り組むケースがあるようです。さらに、マルコム・グラッドウェルの『天才! 成功する人々の法則(原…

書評|人見知りのためのネットワーキング指南|"Taking the Work Out of Networking" by Karen Wickre

昔から異業種交流会のような新しい出会いの場はありました。インターネットの時代になり、特定の興味を持った人たちが集まるイベントやコミュニティーを見つけることが容易になりました。Facebookグループやイベント検索、海外ならMeetupやEventbrite、国内…

書評|議論するツールとしての「腐敗」| "America, Compromised" by Lawrence Lessig

ローレンス・レッシグといえばクリエイティブ・コモンズの設立でフリーソフトウェアとインターネット文化への大きな貢献で有名ですね。あまりに有名なので、ボクがここで付け足す必要もないでしょう。そんなレッシグの新著。レッシグはここ最近は政治の腐敗…

書評|悲観主義者の逆襲 "Falter" by Bill McKibben

「世の中それほど悪くなってない」と考える楽観主義者と「世の中は悪くなっている」と考える悲観主義者に分けることができます。楽観主義者の代表はこのブログの書評でも紹介したハンス・ロスリングの『ファクトフルネス』やスティーブン・ピンカーの"Enligh…

書評|Oculusの歴史「ラッキー・パーマーの章」 "The History of the Future" by Blake J. Harris

スマホの伸びが鈍化していて「スマホの次のプラットフォーム」が期待されています。「スマホの次」に期待がかかるのはAmazon Echoに代表されるボイスと、Oculusに代表されるVRですね。今回紹介する書籍"The History of the Future"はOculusの創業からFaceboo…

書評|プログラマーという人たち|"Coders" by Clive Thompson

職業には特定のイメージが付きまといます。弁護士は硬いイメージ、ホストはチャラいイメージ。今回紹介するクリーヴ・トンプソンの"Coders"はプログラマーに焦点を当てて、どんな人たちなのかを描いていきます。プログラマーも内向的でコミュニケーションが…

書評|イノベーションは文化でなく仕組みで作る|"Loonshots" by Safi Bahcall

イノベーション推進の取り組みを行っている企業はたくさんあると思います。組織の外から取り込むこともあります。スタートアップを買収したり。また、組織の内側から変える取り組みもあります。アジャイルやリーンスタートアップに取り組んだGEなんて代表例…

書評|「価値」と「生産性」の再定義|"Value of Everything" by Mariana Mazzucato

日本は生産性が低いといわれていますが、それは本当でしょうか。 生産性の計算は労力や資本といったインプットに対して、どれくらい価値を生み出したかというアウトプットから算出されます。では、そのアウトプットである「価値」ってなんでしょう?一般的に…

書評|独占禁止法の歴史から現代のGAFA寡占と経済の停滞を検証する|"The Curse of Bigness" by Tim Wu

多くの人は世の中を悪くしてやろうなんて考えてないですし、その人たちなりの正義に基づいて行動しています。ある人にとっての正義が、別の人の正義ではないというだけです。それはこれまで散々もてはやされていたGoogleやFacebookが、ここ最近は悪者として…

書評|脳から見た人間と社会の関係|"Social" by Matthew Lieberman

最近はソーシャルメディアに対して批判的な意見が多く出てきています。ソーシャルメディアがなぜ有害なのかを論じる上で、人間と社会の関わり合いを科学的に説明すると感じる論者は多いようで、今回紹介するマシュー・リーバーマンの著書"Social"(日本語タ…

書評|FBIのデザイン思考的な交渉術|"Never Split the Difference" by Chris Voss and Tahl Raz

映画『交渉人』は濡れ衣の罪を晴らすために人質をとって立てこもるシカゴ警察東分署交渉人(ケヴィン・スペイシー)と人質開放の交渉を引き受けたシカゴ警察西分署の交渉人(サミュエル・L・ジャクソン)のやり取りが素晴らしい映画でした。 今回紹介する書…

書評|Facebookではスパークジョイしない!デジタル断捨離のススメ|"Digital Minimalism" by Cal Newport

コンマリこと近藤麻理恵さんはすごいですよね!アメリカでも大人気です。アメリカの価値観の基本は「消費」であり「ショッピング」です。足し算の生活。コンマリはスパーク・ジョイ(心がときめく)という非常にわかりやすいキーワードで断捨離(引き算の生…

書評|GoogleやFacebookをみる新しいレンズとしての監視資本主義|"The Age of Surveillance Capitalism" by Shoshana Zuboff

ここ数年、AIの危険性やGAFAの過度の影響を警戒する書籍がベストセラーに増えてきました。例えばキャシー・オニールによる"Weapons of Math Destruction"(邦題『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』)は現場で実際にプロジェクトに携わ…

書評|「チーム人間」対「チームアルゴリズム」|"Team Human" by Douglas Rushkoff

最近のテクノロジーや技術革新に関する書式は楽観的な「世の中よくなってる派」と悲観的な「世の中あまりよくなってない派」に分かれます。「世の中よくなってる派」の代表は『ファクトフルネス』のハンス・ロスリングや"Enlightenment Now"のスティーブン・…

書評|アメリカ海軍特殊部隊から学ぶデザインとリーダーシップ|"The Dichotomy of Leadership" by Jacko Wilink

企業ではいろんな事業やプロジェクトに取り組みますよね。中には、その企業の存続を左右するようなプロジェクトもあるかもしれません。でも、人は死にませんよね。会社が倒産して、そのために社員が路頭に迷って、間接的に人の生死を左右することはあるかも…