カタパルトスープレックス

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書評

書評|日本にいま必要なのは自己憐憫を止めて冷静に分析する勇気|"Upheaval" by Jared Diamond

文明の誕生をテーマにした『銃と鉄と病原菌』と文明の崩壊をテーマにした『文明崩壊』に続くジャレド・ダイアモンドの新著のテーマは「苦難」でした。人類の歴史をテーマにしたものはユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』と『ホモデウス』で引き継い…

書評|ボクたち自身が問題の一部かもしれないことに気づこう|"Winners Take All" by Anand Giridharadas

ハンス・ロスリングが『ファクトフルネス』で解説してくれたように、マクロの視点で見れば世の中はよくなっています。飢えで苦しむ人たちはだいぶ減りましたし、学校に通う女性も増えました。それでも、悲しいニュースが溢れています。悲しいニュースの多く…

書評|日本のスタートアップが海外のVCから投資されない理由|"Secrets of Sand Hill Road" by Scott Kupor

業界にはそれを象徴する中心地があります。映画の象徴がハリウッドで、金融の象徴がウォール・ストリート(イギリスのシティでもいいですが)であるように、ベンチャーキャピタルの象徴がシリコンバレーにあるサンド・ヒル・ロードなのだそうです。 最も有名…

書評|天才は回り道をしながら遅れてやってくる|"Range" by David Epstein

幼年期からの英才教育。タイガー・ウッズやチェスのポルガー姉妹のように特定の分野を小さなころから徹底的にやりこんだ天才たちを例にとって、専門教育に取り組むケースがあるようです。さらに、マルコム・グラッドウェルの『天才! 成功する人々の法則(原…

書評|人見知りのためのネットワーキング指南|"Taking the Work Out of Networking" by Karen Wickre

昔から異業種交流会のような新しい出会いの場はありました。インターネットの時代になり、特定の興味を持った人たちが集まるイベントやコミュニティーを見つけることが容易になりました。Facebookグループやイベント検索、海外ならMeetupやEventbrite、国内…

書評|議論するツールとしての「腐敗」| "America, Compromised" by Lawrence Lessig

ローレンス・レッシグといえばクリエイティブ・コモンズの設立でフリーソフトウェアとインターネット文化への大きな貢献で有名ですね。あまりに有名なので、ボクがここで付け足す必要もないでしょう。そんなレッシグの新著。レッシグはここ最近は政治の腐敗…

書評|悲観主義者の逆襲 "Falter" by Bill McKibben

「世の中それほど悪くなってない」と考える楽観主義者と「世の中は悪くなっている」と考える悲観主義者に分けることができます。楽観主義者の代表はこのブログの書評でも紹介したハンス・ロスリングの『ファクトフルネス』やスティーブン・ピンカーの"Enligh…

書評|Oculusの歴史「ラッキー・パーマーの章」 "The History of the Future" by Blake J. Harris

スマホの伸びが鈍化していて「スマホの次のプラットフォーム」が期待されています。「スマホの次」に期待がかかるのはAmazon Echoに代表されるボイスと、Oculusに代表されるVRですね。今回紹介する書籍"The History of the Future"はOculusの創業からFaceboo…

書評|プログラマーという人たち|"Coders" by Clive Thompson

職業には特定のイメージが付きまといます。弁護士は硬いイメージ、ホストはチャラいイメージ。今回紹介するクリーヴ・トンプソンの"Coders"はプログラマーに焦点を当てて、どんな人たちなのかを描いていきます。プログラマーも内向的でコミュニケーションが…

書評|イノベーションは文化でなく仕組みで作る|"Loonshots" by Safi Bahcall

イノベーション推進の取り組みを行っている企業はたくさんあると思います。組織の外から取り込むこともあります。スタートアップを買収したり。また、組織の内側から変える取り組みもあります。アジャイルやリーンスタートアップに取り組んだGEなんて代表例…

書評|「価値」と「生産性」の再定義|"Value of Everything" by Mariana Mazzucato

日本は生産性が低いといわれていますが、それは本当でしょうか。 生産性の計算は労力や資本といったインプットに対して、どれくらい価値を生み出したかというアウトプットから算出されます。では、そのアウトプットである「価値」ってなんでしょう?一般的に…

書評|独占禁止法の歴史から現代のGAFA寡占と経済の停滞を検証する|"The Curse of Bigness" by Tim Wu

多くの人は世の中を悪くしてやろうなんて考えてないですし、その人たちなりの正義に基づいて行動しています。ある人にとっての正義が、別の人の正義ではないというだけです。それはこれまで散々もてはやされていたGoogleやFacebookが、ここ最近は悪者として…

書評|脳から見た人間と社会の関係|"Social" by Matthew Lieberman

最近はソーシャルメディアに対して批判的な意見が多く出てきています。ソーシャルメディアがなぜ有害なのかを論じる上で、人間と社会の関わり合いを科学的に説明すると感じる論者は多いようで、今回紹介するマシュー・リーバーマンの著書"Social"(日本語タ…

書評|FBIのデザイン思考的な交渉術|"Never Split the Difference" by Chris Voss and Tahl Raz

映画『交渉人』は濡れ衣の罪を晴らすために人質をとって立てこもるシカゴ警察東分署交渉人(ケヴィン・スペイシー)と人質開放の交渉を引き受けたシカゴ警察西分署の交渉人(サミュエル・L・ジャクソン)のやり取りが素晴らしい映画でした。 今回紹介する書…

書評|Facebookではスパークジョイしない!デジタル断捨離のススメ|"Digital Minimalism" by Cal Newport

コンマリこと近藤麻理恵さんはすごいですよね!アメリカでも大人気です。アメリカの価値観の基本は「消費」であり「ショッピング」です。足し算の生活。コンマリはスパーク・ジョイ(心がときめく)という非常にわかりやすいキーワードで断捨離(引き算の生…

書評|GoogleやFacebookをみる新しいレンズとしての監視資本主義|"The Age of Surveillance Capitalism" by Shoshana Zuboff

ここ数年、AIの危険性やGAFAの過度の影響を警戒する書籍がベストセラーに増えてきました。例えばキャシー・オニールによる"Weapons of Math Destruction"(邦題『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』)は現場で実際にプロジェクトに携わ…

書評|「チーム人間」対「チームアルゴリズム」|"Team Human" by Douglas Rushkoff

最近のテクノロジーや技術革新に関する書式は楽観的な「世の中よくなってる派」と悲観的な「世の中あまりよくなってない派」に分かれます。「世の中よくなってる派」の代表は『ファクトフルネス』のハンス・ロスリングや"Enlightenment Now"のスティーブン・…

書評|アメリカ海軍特殊部隊から学ぶデザインとリーダーシップ|"The Dichotomy of Leadership" by Jacko Wilink

企業ではいろんな事業やプロジェクトに取り組みますよね。中には、その企業の存続を左右するようなプロジェクトもあるかもしれません。でも、人は死にませんよね。会社が倒産して、そのために社員が路頭に迷って、間接的に人の生死を左右することはあるかも…

書評|日本ではわかりづらいRedditを理解するためのテキスト|"We Are the Nerds" by Christine Lagorio-Chafkin

Redditって有名だし、英語圏でビジネスをするならチャネルとしても無視できない。2019年1月時点でのAlexaのランキングでは18位。FacebookやTwitterのような定番以外にグロースハックをやるならRedditは検討しなければいけないチャネルの一つです。Reddit hug…

書評|自分のペースで仕事をする大切さ|"It Doesn't Have to Be Crazy at Work" by David Heinemeier Hansson and Jason Fried

いきなり個人的なことですが、ボクは最近になって日本企業で働いています。これまでずっと外資系企業に勤めたり、海外でスタートアップやったりしていたので、日本企業で働くのは本当に初めてのことです。で、これが驚くほどに快適なんですね。なぜかといえ…

書評|スタートアップとベンチャーキャピタルの関係を説明したバイブル|"Venture Deals" by Brad Feld, Jason Mendelson

スタートアップ界隈では尊敬されている人たちがいます。今回紹介する"Venture Deals"の共同著者のブラッド・フェルドはその一人です。コロラド州のボルダーはスタートアップの活動が活発ですが、そのスタートアップコミュニティーを立ち上げる主役の一人がブ…

書評|現場のiPhone開発者が見たAppleの創造力の源泉とは?|"Creative Selection" by Ken Kocienda

Appleの株価は2018年8月に米国史上初の時価総額が10億ドル(1000億円)を超えました。そして、同年10月をピークにして、2019年1月にはアメリカで一位から三位まで転落してしまいました(一位はアマゾン、二位はマイクロソフト)。 Appleの想像力の源泉と言え…

書評|オッサンの言ってることは意外と正しいんじゃないか?|"Lab Rats" by Dan Lyons

今回紹介する著書のダン・リオンズさん。見ての通り、オッサンです。ずっと編集畑を歩んできて、リストラされる。心機一転、スタートアップ(Hubspot)の世界に飛び込んだもののやっぱりリストラ。スタートアップめ!ざけんじゃねーぞ!とスタートアップ界隈…

書籍|本当のマーケティングの話|"This is Marketing" by Seth Godin

顧客起点とよく言いますよね。本来であれば「マーケティング」というのは顧客のことを理解して、顧客が求めるものを作り、届けることです。「営業」は顧客の困りごとを理解し、その困りごとを解決する方法を紹介することです。 つまり、顧客起点とは顧客への…

2018年和書ベスト3冊|ベスト・オブ・2018

このブログのコンセプトは「イノベーションに効く世界の情報を日本語で」なので、日本の情報は取り扱いませんし、日本語で書かれた和書も取り上げません。それでも、ボクは日本人なので日本語で書かれた書籍も買いますし、読みます。英語の本に比べるとかな…

2018年洋書ベスト5冊|ベスト・オブ・2018

2018年に出版された英語圏の書籍で目立つトレンドをカタパルトスープレックス 的に総括すれば「揺り戻し」ではないかなと思います。『リーンスタート・アップ (原題:Lean Startup)』をさらに押し広げた『スタートアップ・ウェイ(原題:Startup Way)』や…

書評|『ブラック・スワン』脱落組がナシーム・ニコラス・タレブに再挑戦|"Antifragile" by Nassim Nicholas Taleb

ボクは本をいっぱい読むほうだと思いますが、頭がいいとは言えません。難しい本とか全然理解できません。その代表例がボクにとってはナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』です。もちろん、その骨子はわかりますよ。白鳥は白いと思っていたら突…

書評|OMOの生みの親が至るAIと愛の境地|"AI Superpowers" by Kai-Fu Lee

頭のいい人はフレームワークで考えて整理整頓するのが非常に上手です。今回紹介する"AI Superpowers"の著者であるカイ=フー・リーもその例に漏れず、AIを中国とシリコンバレーで比較するという入り組んだ題材をうまく整理しています。OMOというキーワードが…

書評|郊外から広がったヘロインとの戦い|"Dopesick" by Beth Macy

多くの日本人にとって麻薬とか覚せい剤とかコカインとかヘロインってピンとこないですよね。テレビや映画で出てくるもの。そういう意味ではアヴェンジャーズと変わらない。これがアメリカだとドラッグは日常とさほど離れていない存在となります。特に、都市…

書評|ダークウェブとビットコインを使った最大の犯罪のドキュメンタリー|"American Kingpin" by Nick Bilton

史上最大のダークウェブでの犯罪といえば闇売買サイト「シルクロード」ですね。このシルクロードについて日本語で一番詳しい記事はザ・ゼロワンの連載記事「史上最悪の闇サイト「Silk Road」黒幕裁判」でしょうか。ボクもこの連載をドキドキしながら読みまし…