カタパルトスープレックス

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書評

書評|『ブラック・スワン』脱落組がナシーム・ニコラス・タレブに再挑戦|"Antifragile" by Nassim Nicholas Taleb

ボクは本をいっぱい読むほうだと思いますが、頭がいいとは言えません。難しい本とか全然理解できません。その代表例がボクにとってはナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』です。もちろん、その骨子はわかりますよ。白鳥は白いと思っていたら突…

書評|OMOの生みの親が至るAIと愛の境地|"AI Superpowers" by Kai-Fu Lee

頭のいい人はフレームワークで考えて整理整頓するのが非常に上手です。今回紹介する"AI Superpowers"の著者であるカイ=フー・リーもその例に漏れず、AIを中国とシリコンバレーで比較するという入り組んだ題材をうまく整理しています。OMOというキーワードが…

書評|郊外から広がったヘロインとの戦い|"Dopesick" by Beth Macy

多くの日本人にとって麻薬とか覚せい剤とかコカインとかヘロインってピンとこないですよね。テレビや映画で出てくるもの。そういう意味ではアヴェンジャーズと変わらない。これがアメリカだとドラッグは日常とさほど離れていない存在となります。特に、都市…

書評|ダークウェブとビットコインを使った最大の犯罪のドキュメンタリー|"American Kingpin" by Nick Bilton

史上最大のダークウェブでの犯罪といえば闇売買サイト「シルクロード」ですね。このシルクロードについて日本語で一番詳しい記事はザ・ゼロワンの連載記事「史上最悪の闇サイト「Silk Road」黒幕裁判」でしょうか。ボクもこの連載をドキドキしながら読みまし…

書評|Google CEOのラリー・ペイジからU2のボノまで、豪華な朗読陣のビジネス書|"Measure What Matters" by John Doerr

ボクは洋書は基本的にオーディオブックで聞いています。オーディオブックは著者自身が朗読することがありますが、そんなオーディオブックを聞くと何だか得した気分になります。書いている本人が直接語りかけてくれるのですから。 ジョン・ドーアによるベスト…

書評|Googleも超えられない男性天国シリコンバレーの闇|"Brotopia" by Emily Chang

シリコンバレーというとイノベーションの中心地というイメージがありますし、実際にその役割を担っている部分もあります。しかし、全てパーフェクトなものはありませんし、それはシリコンバレーとて例外ではありません。 シリコンバレーは特に白人男性社会と…

書評|それでも世の中は良くなっていると言い続けないければいけない理由|"Enlightenment Now" by Steven Pinker

色々な事件が毎日のように起きます。世の中は良くなっているのか、悪くなっているのか?悪くなっているのだとしたら、進歩って意味があるのか?そういうことを考えたことがある人は少なくないのではないでしょうか。あのイーロン・マスクですら運命論者にな…

書評|Amazonから学ぶ4つのビジネスの成功要素|"Be Like Amazon" by Jeffrey Eisenberg

実証されていないイノベーションやビジネスモデルはワクワクします。将来のことだから。株価も将来の期待によって上下します。顧客や従業員を中心に考える企業は投資家からみれば、利益という自分の分前を取られていると感じますし、ワクワクしないのであま…

書評|新しい一般教養としてのビッグヒストリー|"Origin Story" by David Christian

日本における「一般教養」とはなんでしょうか。答えられる人はあまりいないのではないでしょうか。日本で「一般教養」は体系化されていないので誰も説明ができないのが残念なところです。しかし、世界にはすでに「一般教養」が体系化されているので、それを…

書評|クソみたいなことを気にせず幸せになる|"The Subtle Art of Not Giving a F*ck" by Mark Manson

I don't give a fuckというのは「そんなクソみたいなこと気にしねーよ」という意味です。 The Subtle Art of Not Giving a Fuckとは「クソみたいなことを気にしなくなるような小ワザ」という意味ですね。 クソは必ず道に落ちている。どのクソを気にして、ど…

書評|ハリネズミとキツネの大戦略|"On Grand Strategy" by John Lewis Gaddis

「戦略」という言葉はビジネスでも使われますが、元々は軍事用語です。第二次世界大戦以降は武力を使った大きな戦争は以前と比べて少なくなりましたが、戦略の重要性は低くなるどころか益々高まっています。 今回紹介する"On Grand Strategy"はアメリカの歴…

書評|AIとハサミは使いよう「あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠」|"Weapons of Math Destruction" by Cathy O'Neil

AIに関しては人間の役に立つと考える「肯定派」と人間をダメにする「否定派」があり、多くの人は態度を決めている「様子見派」なんじゃないかと思います。AIは所詮はツールなので使いようで、人に役立つこともできれば、人に危害を加えることもあります。包…

書評|インターネットとサブカルとオルタナ右翼|"Kill All Normies" by Angela Nagle

アンジェラ・ネーグルの"Kill All Normies"はオルタナティブ(特にオルタナ右翼)について書いた本です。最近のアメリカやヨーロッパのオルタナ文化を理解するのにいい本でした。ちなみにタイトルにもなっているノーミーはノーマルピープル(メインストリー…

書評|キャッチーなデータサイエンス本『誰もが嘘をついている』|"Everybody Lies" by Seth Stephens-Davidowitz【2018年夏休み読書週間】

自分が何をしているのか意外と意識できていないものです。自分で思ってるよりいい奴じゃないし、優れてもいない。昔は良かったということも実はあまりないですしね。多くの場合、悪かったことは忘れてしまってるだけです。 セス・スティーヴンズ=ダヴィドウ…

書評|Twitter創業者たちのエゴと魅力『ツイッター創業物語』|"Hatching Twitter" by Nick Bilton【2018年夏休み読書週間】

いろいろなスタートアップの成り立ちを調べてブログで書いていると、企業や人となりには(当然ながら)裏と表があると気がつきます。完璧なんてない。どれだけ素晴らしい業績を残した起業家も成人君主ではなく普通の人間です。 いわゆる会社公認の「創業史」…

書評|超えてはいけない一線を超えたスタートアップ史上最大のスキャンダル|"Bad Blood" by John Carreyrou【2018年夏休み読書週間】

スタートアップ史上最大のスキャンダルのひとつとして数えられるであろうセラノスの事件をその発端から現在に至るまで詳細に追いかけた一冊。 なぜこれほど多くの実績あるベテラン投資家や政府高官、企業役員たちがセラノスの不正を見抜けなかったのか。シリ…

書評|グロースハック本の決定版|"Hacking Growth" by Sean Ellis【2018年夏休み読書週間】

エリック・リースはリーン・スタートアップを書籍の形で世に出しましたが、グロースハックという言葉を2010年に生み出したショーン・エリスこれまでグロースハックの本を書いてきませんでした。グロースハックはショーンがコンセプトを発表した後に、アンド…

書評|大人ためのリーンスタートアップ『スタートアップ・ウェイ』|"The Startup Way" by Eric Ries【2018年夏休み読書週間】

イノベーションの実現を助ける手法としてリーン・スタートアップは有名です。用語としてMVPとかピボットとか聞いたことがある人もいるでしょう。『スタートアップ・ウェイ』は『リーン・スタートアップ』を書いて世の中にリーン・スタートアップを広めたエリ…

書評|不条理なゲーム開発の世界を垣間見る|"Blood, Sweat and Pixels" by Jason Schreier 【2018年夏休み読書週間】

ゲームの開発は他のソフトウェア開発とかなり違うため、なかなか理解するのが難しい分野です。今回紹介するKotakuの編集者ジェイソン・シュライアーの書籍"Blood, Sweat and Pixels"は普段垣間見ることができなゲーム開発の世界を紹介しています。 ここで紹…

【2018年夏休み読書週間】飲み物の話|水、ビール、ワイン、ラム、コーヒー

2018年の夏は暑いですね。暑い日には飲み物をたくさん飲みたくなります。今回は飲み物についてです。全くイノベーションと関係ありませんが、夏休みですし、読書週間の前半最期にこういう夏っぽいのもいいかなと。 トム・スタンデージ『歴史を変えた6つの飲…

書評|統計ではわからない「なぜ」の科学|"The Book of Why" by Judea Pearl【2018年夏休み読書週間】

ビジネスの現場ではデータを読み取って「なぜそうなるのか?」を考えたり、話し合ったりする場面は多くあります。知りたいのは「広告を出せば売上が伸びる」とか「この薬を飲めば風邪が治る」といった単純なことです。でも、これまでの統計学ではなかなかそ…

【2018年夏休み読書週間】オーディオブック活用法|カタパルト式アンリーディング

最近読んだ本の感想を【2018年夏休み読書週間】として何冊か紹介してきました。でも、「読書」というのは厳密には正しくありません。ボクの場合はオーディオブックを聴いているので、「聴音」が正しい。ちょっと前まではKindle Paperwhiteを愛用していました…

書評|機械学習の考え方を理解する|The Master Algorithm by Pedro Domingos【2018年夏休み読書週間】

人工知能(AI)とかディープラーニングとか機械学習とか、自分なりの理解のもとに色々と自分の意見や考え方を持っている方が多いかと思います。そして、正しい認識を持つには正しい理解が必要となります。機械学習でよく言われるガベージ・イン/ガベージ・…

書評|クソくだらなくて意味のない仕事が増えている|Bullshit Jobs by David Graeber【2018年夏休み読書週間】

本来必要ない仕事があったら?そして、その仕事をしている人はそれに気づいていたら?これが今回紹介するデビッド・グラバーの"Bullshit Jobs"の主題です。様々な調査によると37%から40%の人が自分の仕事がなくなっても何も世の中に影響がないと考えています…

書評|トランプ時代に崩れ落ちる民主主義|The Death of Truth by Michiko Kakutani【2018年夏休み読書週間】

ハンナ・アーレントの1951年の著作『全体主義の起源』によれば、全体主義にとって都合のいいのはナチスや共産党の信者ではなく、事実と作り話の差がわからない人だそうです。そして、それから70年近く経った現在、フェイクニュースやケンブリッジアナリティ…

書評|差別するデザイン|"Technically Wrong" by Sara Wachter-Boettcher【2018年夏休み読書週間】

デザインは人を傷つけます。そして、場合によっては死に至らせる可能性もあります。このことについてはすでに翻訳が出ているジョナサン・シャリアートとシンシア・サヴァール・ソシエによる『悲劇的なデザイン』(デザイナー必読)でも詳しく紹介されていま…

書評|シリコンバレーのユートピアドリームから目を覚ませ|"People vs Tech" by Jamie Bartlett【2018年夏休み読書週間】

これまで新しいテクノロジーで古い仕組みを壊すことはいいことだとされてきました。既得権益にあぐらをかいている古い業界を新しくする。そして、多くの場合、新しいテクノロジーを使うのは小さなスタートアップで、古い仕組みと既得権益にしがみつくのは大…

書評|チンパンジーより世界を正しく認識する方法|"Factfulness" by Hans Rosling

まずは13の質問に答えてください。この質問はGoogle Formで作成され、回答は全ての質問に答えた後に表示されます(一人一回しか回答できないためGoogleのログインが必要です)。多くの答えが間違っていても、ガッカリする必要はありません。ダボス会議の参加…

書評|コープのソーシャルプラットフォーム|"Ours to Hack and to Own" by Trebor Scholz and etc

注目されるスタートアップの歴史を書こうと考えた時、どうしても食指が動かなかったのがUberです。そもそもビジネス自体に共感が持てない。創業者たちがどのような社会を作ろうとしているのかわからないですが、便利と搾取の等価交換な気がしてならない。社…

書評|バーチャルリアリティーの歴史|Dawn of the New Everything by Jaron Lanier

ジャロン・ラニアーはヴァーチャルリアリティーを商用製品としてはじめて世に送り出したVPL Researchの共同創業者で「VRの父」と呼ばれる人です。VR自体はずっと前に生み出されているので、彼自身はその称号にあまり心地よさを感じてはいないようですが、間…