日本未公開作品のレビューを書くリスクとは何か?それは、レビューを書く前に日本公開されてしまうことです。書籍の場合、そのリスクは大きくありません。書籍の翻訳って時間がかかりますから。しかし、映画の場合はレビューを書く前に日本公開されてしまうリスクは非常に高いです。今年はすでに『燃ゆる女の肖像』と『バクラウ/地図から消された村』がもう直ぐ日本公開されます。ああ、両方ともいい作品だから、日本公開が決まる前に、とっととレビュー書いておけばよかったよ!
さて、このリスクは有名俳優が出演している有名監督作品だったらなおさら高くなります。現時点でのガイ・リッチー監督最新作である"The Gentlemen"がなぜいまだに日本未公開なのか、ボクにはさっぱり意味がわかりません。これ、日本で公開したら普通にヒットすると思いますよ。
The Gentlemen [Blu-ray] [2020]
- メディア: Blu-ray
舞台はイギリス。ミッキー・ピアソン(マシュー・マコノヒー)がオックスフォード大学の学生時代から築き上げたマリファナ組織を友人マシュー・バーガー(ジェレミー・ストロング)に売り渡し、引退を考えます。しかし、売り渡す前に問題が続発。果たしてピアソンは無事に引退できるのか?という話です。
まずは構成の勝利です。中心人物はピアソンの引退までのストーリー(メインプロット)です。このストーリーの語り部は探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)、聞き手は麻薬組織の右腕レイモンド(チャーリー・ハナム)です。タブロイド紙の編集長に依頼された捜査の結果をネタにお金を脅し取ろうとします。フレッチャーの脅迫は成功するのか?がサブプロットとなっています。
サブプロットの中にメインプロットが入る構成になっています。この入れ子の構成のために、メインプロットの登場人物とサブプロットの登場人物を効果的に活用することができます。本作のキャストは本当に豪華なので、この構成のおかげでうまくすべての人を引き立てることができていると思います。
例えば、事件に巻き込まれてしまう格闘技集団のコーチ(コリン・ファレル)なんて、よく使い切ったと思いますよ。ピアソンの妻を演じるミシェル・ドッカリーだって、出番は少ないのにちゃんとキャラクター造形ができてる。ミッキー・ピアソンが大切なものがよくわかるから、事件の幕の引き方理解できる。
これ、絶対に続編やるだろうなあ。多分、同じガイ・リッチーが監督をしたロバート・ダウニー・Jr主演の「シャーロック・ホームズ」シリーズと同じくらいはうまくいくんじゃなかろうか。ロバート・ダウニー・Jr+ジュード・ロウのコンビも良かったけど、本作のマシュー・マコノヒー+チャーリー・ハナム+コリン・ファレルのトリオもまた見たくなる魅力がありますよ!