老舗の味は意外とおいしくない。「おいしい/おいしくない」は主観であって、絶対的な尺度などないにしても。もちろん、例外もあるのですが、これがボクが色々と食べ歩いた結論です。老舗は雰囲気がいいです。趣があります。でも、味は今ひとつだったりするんですよね。とんかつの場合は臭みが残っていたり、焼き鳥の場合はちょっと冷めたものが出てきたり。新進の店はおいしくなければお客がつきませんが、老舗の場合は老舗というだけでお客がつきます。それが理由かどうかわかりません、伝統なのかもしれませんが、多くの老舗の場合は味が進化してないんです。工夫が少ない。
ワインなどもそうですが、古いほどいいなんてことはないです。残念ながら何にでも寿命がある。時の試練に耐える素晴らしいヴィンテージもありますが、多くのワインは経年劣化してしまいます。50年経っても美味しいヴィンテージなんて滅多にないですからね。映画の場合は作品が劣化するのではなく、観客の目が肥えてしまうのです。ジョージ・ルーカスが神経質に『スターウォーズ 』オリジナルトリロジー(エピソード4から6)を最新技術でちょこちょこアップデートするのは観客の目が最新技術に慣れてしまうのを知っているからなんでしょうね。
前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介する"The Ghost of Sierra de Cobre"は『シェラ・デ・コブレの幽霊』として日本でテレビ放映されたことがあります。そういう意味では、厳密に言えば日本未公開作品ではないのですが、長らく日本では公開されていないのでここで紹介します。監督はヒッチコックの映画『サイコ』の脚本を書いたジョセフ・ステファノです。比較的に最近の作品だとアル・パチーノ主演作品『天国の約束』もジョセフ・ステファノ脚本です。
The Ghost of Sierra de Cobre [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: Kl Studio Classics
- 発売日: 2018/10/16
- メディア: Blu-ray
『シエラ・デ・コブレの幽霊』はテレビシリーズのパイロット版として製作されたもので、主人公の心霊調査員は明らかにシリーズ化を狙ったキャラクターです。ジャンルとしてはホラー風サスペンス映画なのかな。『スパイ大作戦』でも活躍したマーティン・ランドーです!きちんとキャラクターを作り込んでいるし、脇役たちも(シリーズ化を前提に)しっかりとした特徴があります。おそらく、これからどんどんと怪事件を解決してってくれるんだろうな!という期待感が持てます。残念ながらシリーズ化はされませんでしたが、ジョセフ・ステファノは脚本家としてはやはり優れていたんですよ。
ストーリーはウィキペディアにも書いてあるので、割愛します。この映画はフィルムがあまり現存していなくて、ブルーレイでメディア化されるまであまり観る機会がなかったためにちょっとした伝説の映画となっていました。そして、恐ろしい映像表現のため、アメリカでは劇場公開されなかった(らしい)ので、これが伝説に箔をつけました。まあ、気になるじゃないですか。どんなに恐ろしい映像なのか。
結論としては、まあ、確かに昔の映画にしてはなかなか頑張ってると思います。昔の人は怖かっただろうなと。アレのことですよね?ただ、もう今の人は目が肥えちゃってるわけですよ。ボクは自他共に認めるビビリです。『ソウ』とか『ホステル』とかダメです。ゴスやグロはダメです。そんなビビリのボクが余裕で観れるレベルです。映画『バイオハザード』シリーズは主婦がアイロンをかけながら観れるビビリに優しいゾンビモノとして有名ですが、怖さ的にはそのレベルかなと。
2020年2月第二週に観た映画にひとこと(観た順)
レクイエム・フォー・ドリーム:アメリカ版『トレイン・スポッティング』
グッド・タイム:OPNによるサウンドトラックが実は素晴らしい。
アドレナリン:エイミー・スマートがカワイイ
アメリカの夜:映画なんてくだらない、人生そのものじゃないか。
ヒッチコック/トリュフォー:『アメリカの夜』を観たなら、これも観ないと。