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書評|ポリマスの時代を生きるためのスキル|"Ultralearning" by Scott H. Young

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ポリマス(Polymath)の時代と言われています。何か一つに特化した専門家ではなく、多彩なジェネラリストがポリマスです。代表例がレオナルド・ダ・ヴィンチですね。新製品開発のディレクションやってると、幅広い知識やスキルが必要になってきます。マーケティング、デザイン、フロントエンド、バックエンド、プロモーション、法務、経理、財務、サポートなどなど。それぞれの専門家とそれなりに製品の方向性に関する深い話ができないといけない。全体を見渡せるってそういうことだと思います。

今回紹介する書籍"Ultralearning"の著者であるスコット・ヤングは12ヶ月で通常では4年間かかるMITのコンピューターサイエンスの学位に必要なコースをすべて習得するチャレンジ"MIT Challenge"を実施し、見事達成しました。

Ultralearning: Accelerate Your Career, Master Hard Skills and Outsmart the Competition

Ultralearning: Accelerate Your Career, Master Hard Skills and Outsmart the Competition

スコット・ヤングは知識やスキルを身につけるのにコツがあるんじゃないかと、同じように短期間で様々な知識やスキルを身につけた人たちにインタビューを行い、共通点を見出して体系化しました。それがこの本のタイトルにもなっているウルトララーニングです。

ウルトララーニングとは自ら急激に知識やスキルを身につける戦略です。どうすれば効率的に学習ができるのか、どうすれば怠けずに集中できるのか、どうすれば忘れないのか様々な原則が提示されています。

第一原則として挙げられているのが「メタ学習」です。メタ学習は学習の学習ですね。例えば、英語を学ぶ前に、英語の学び方を学ぶ。メタ学習は「なぜ学ぶのか?」「何を学ぶのか?」「どのように学ぶのか?」の観点で整理することができます。特に「なぜ学ぶのか?」は重要です。同じ英語を学ぶにしても、何かの手段として学ぶのか(instrumental)もしれません。例えば出世のためとか。好きな女の子が英語しか話せないとか。または、そのこと自体(intrinsic)が目的なのかもしれません。

次に「何を学ぶのか?」を明確にします。これも数学のようなコンセプトなのか、語学のようにファクトなのか、自転車やギターのようにプロシージャーなのかで異なります。ここまで明確になれば「どうやって学ぶのか?」を調べるのはかなり楽になります。

もう一つ大事だと思ったのは第三原則の「ディレクトネス」ですね。英語を話せるようになりたいなら、英語が母国語の国に行ってビザで滞在できる限界まで滞在して英語だけで生活する。バンドでギターを演奏して人前でライブをしたいのなら、そうする。もちろん、そういう環境にいれない場合もありますよね。ギター弾けないのにいきなり人前で弾けない。でも、なるべく近い環境にすることはできる。例えば、ライブ会場でなくても、スタジオでも近い環境は作れる。まだ、バンドを組むほどの腕前じゃない?だったらせめてギターストラップをつけて立ったまま弾くことはできますよね。演奏したい曲をひたすら練習すればいい。英語も同じで、その場に行かなくてもTwitterとかで友達作って、Skypeで話してみればいい。

この本はどんな人にオススメか

いろんな知識やスキルを身に付けたい人にはオススメです。ボク自身、英語と中国語を話せますし、フランス語とドイツ語も以前は話せました。自分で言うのもなんですが、マルチリンガルの類に入ると思います。また、自分自身でカレー屋をやるくらいにはカレー好きで、短期間に随分とメニューを開発しました。その語学やカレー作りの知識やスキルを身につけた方法は(振り返ってみれば)ここに書かれている原則に沿ったものでした。一方、ボクのギターは一向に上達しないのですが、ウルトララーニングの原則に従えばもうちょっと上手くなるんじゃないかと言う気もします。特にメタ学習は大事。