カタパルトスープレックス

イノベーションに効く世界の情報を日本語で

日本の企業や組織が抱える根本的なWHYの問題|カタパルト式アンリーディング

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 日本はイノベーションをもっと推進しないといけない。日本は従来の製造業から脱却して新しい価値を生まないといけない。日本はもっと働き方改革を進めて効率的にならないといけない。いろいろと「しなければいけない」事は多いのですが、その解決策はまだ見えていない気がします。

 Newspicksで「ピラミッドかホラクラシーか。目指すべき「最強の組織」とは」という記事がありました。ただ、この記事は組織がどうあるべきというHowは語られているけど、なぜそれがいいのか、Whyが語られていない。Howが変わったからと言ってWhatは変わらない。根本的な問題はWhyです。Whyが変わるからHowもWhatも変わる。「しなければいけない」理由(Why)にハラ落ちできなければWhatもHowも変えられない。日本が足踏みしているのは意外とこんなところなのではないでしょうか?

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フィンテック革命が失敗した理由

 前に"Bank 3.0"という本を読んだ。Movenの創業者のBrett Kingが来たるべき銀行の新しい姿を描いた本。その前にアフリカでMペサがあって。うわ、すげーっ!て思って。ああ、フィンテックってちょっと前まではこういうのだったよなあ。そうだ思い出した。フィンテックは銀行を飲み込むはずだったんだ。そうか、あれがフィンテック1.0だったのか。この記事を読んでそんなことを考えていました。

 この記事はLevel Moneyの元共同創設者でCEOだったJake Fuentes氏が自らのスタートアップを含めたフィンテック1.0の失敗について書いた"Fintech, a Failure?"の翻訳です。ここで描かれるアメリカのフィンテック事情は日本とちょっと似てる。まあ、日本がアメリカのスタートアップを追っかけてるってことでもあるんですが。Squareを追っかけてるCoinyとかWealthfrontやBettermentを追っかけてるWealthNaviTheoとか!

 いまはクリプトカレンシーに注目が集まるフィンテック2.0なのかもしれません。ここにはないけど送金サービスのTransferwizeなんてめっちゃ成功してるし。日本は日本で後追いしてるだけでなく、独自の動きとかもあります。Cashなんていい例ですよね。中国やスウェーデンではペイメントを中心に独自な発展がありますし。また盛り上がりそうなフィンテック。だからこそ、立ち止まって振り返ることも大事。彼が共有してくれている失敗から多くを学ぶことができると思います。成功より失敗から学ぶことの方が多いのですから。

カタパルトスープレックスなかむらかずや

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Verizon、AT&TとT-Mobileが2010年に共同で立ち上げたモバイルペイメント。その名も『ISIS』...いや、マジで。その後、こっそり『Softcard』と名前を変えて2015に終了。
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子供にやさしいクルマの自動運転をデザインする

 今年6月に神奈川県の東名高速道路で夫婦が亡くなった事故は人間が運転するクルマは本当に安全なのかを考えるきっかけにもなったとても悲しい事故でした。危険運転でヒヤっとしたドライバーも少なくないのではないでしょうか。自動運転のクルマではこのようなことは起きません。物理の法則がある限り事故が全くなくなることはないでしょう。しかし、大幅に減少することはできるはず。交通渋滞の緩和にも効果がありそうです。

 もちろん、クルマを運転する楽しみもあるのでしょう。しかし、社会インフラとしてのクルマの役割を考えると安全の方が優先順位は高い。おそらくクルマの運転を楽しむのは公道では制限される社会になるのではないでしょうか。

 この記事は子供に優しいクルマの自動運転をデザインする上で考慮すべきことをを解説した"Child-Friendly Autonomous Vehicles"の翻訳です。これを書いたのはHumanising Autonomyの共同創設者でCOOのLeslie Nooteboom氏です。

 安全なクルマの自動運転を実現するためにはどのようなことを考慮する必要があるのかを理解することができます。クルマの自動運転に不安を感じる人は多いでしょうが、まずは知ることが大事だとボクは思います。

カタパルト式スープレックスなかむらかずや

原文:"Child-Friendly Autonomous Vehicles" by Leslie Nooteboom, Nov 14, 2017

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ハロウィーンの仮装をした子供を認識するクルマ (Google)
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電気自動車とビットコイン共通点の問題|カタパルト式アンリーディング

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 最近、このカタパルト式スープレックスで集中的に取り上げているのが電気自動車とブロックチェーンです。この二つを調べていくと共通点があります。それはビットコインも電気自動車も電気を食うということです。

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次世代のブロックチェーンの最有力、IOTAとTangleとは

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 今回から数回にわたり、ブロックチェーンに関わる海外の人たちのインタビューをお送りします。最初はIOTAとその基盤技術のTangleを初期から追いかけているブロガーのLimoことStephen Vogtさん。IOTAもTangleもまだできたばかりの技術で英語でもあまり具体的な情報はありません。ただ、そのコンセプトは魅力的でマイクロソフトをはじめとした様々な大手企業と提携しています。今回のインタビューでもう少しIOTAについて理解できればなと。

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クラウドの先にあるプラットフォームとしてのブロックチェーンの全体像

 この記事はシステムの視点でブロックチェーンを解説した"Blockchain Infrastructure Landscape: A First Principles Framing"の翻訳です。これを書いたのはBigchainDBの共同創設者でCTOのTrent McConaghy氏です。

 ボク自身はビットコインのような仮想通貨にはあまり興味なくって、コンピューター技術としてのブロックチェーンに興味がありました。「Ethereumに興味がある」と言っても「最近値上がりしてるよね」と答えが返ってくると(Ether [ETH]でなくってEthereumなんだけどと)ガッカリしたりして。

 今はEthereumやIOTA、Polkadotなど面白い技術がたくさん出てきています。ただ、技術要素はたくさんあるのだけれど、全体的に俯瞰できるような資料があまりなかった。そんな時に出会ったのがこの記事でした。

 メインフレームからクライアントサーバー型、そしてクラウドコンピューティングに移り変わりました。そして、クラウドの先にある世界。これから起きるであろう変化は本当の意味での分散型のシステムで、ブロックチェーン(またはTangleなどその次世代の仕組み)がその中心にある可能性が高いと思います。

カタパルト式スープレックスなかむらかずや

原文:"Blockchain Infrastructure Landscape: A First Principles Framing" by Trent McConaghy, July 15, 2017

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  • 分散アプリにおけるストレージ、コンピューティングおよびコミュニケーションを明らかにする
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  • ブロックチェーンのビルディングブロック
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本のエクスペリエンス|「本のない本屋さん」は本でつながるコミュニティー

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 前回は『本のない本屋さん』の最初のポストでした。書店やAmazonにはあまりにたくさんの本がありすぎる。そこから自分にあった本を探すのは大変。だったら本を無くしてしまおう。それが『本のない本屋さん』のはじまりでした。

『本のない本屋さん』には本がない。では、何があるのでしょうか?本が欲しいのであればAmazonですぐに買える。偶然の出会いを求めるのであれば本のある本屋さんの方がいい。『本のない本屋さん』には人とのつながりがあります。『本のない本屋さん』にはコミュニティーがあります。

人のつながりと本のつながり

 本は人と人とをつなぐことができる。ブッククラブは代表例ですよね。本に求めるものは人それぞれ。本に出会って何を得るかも人それぞれ。そして、それぞれ違う人たちが集まれば、自分だけでは見つけられなかった本が見つかるはず。

 何かをメディアとして人をつなぐ。そんな例は本以外にもたくさんあります。

 美味しい食べ物が好きなグループがある。『食いしん坊のデザイナーたち』ではデザイナーが集まって色々な美味しい食べ物を探訪しています。美味しい食べ物はデザイナーをつないでくれる。一人でなく、みんなで楽しむ。仲間がいるから自分だけでは探せなかった食の世界が見えてくる。

いい本には人が集まる

 村上春樹の本をテーマとして集まりはたくさんあります。最近はノンフィクションでも元々は本で紹介されたコンセプトが共感を生み、コミュニティーになる例はたくさんあります。例えばリーン・スタートアップ。エリック・リースが書いた『リーン・スタートアップ』に共感した人たちが集まり、Lean Startup Circleという世界に広がるコミュニティーとなりました。そして、リーン・スタートアップに関する新しい本が生まれ続けていて、コミュニティーも広がり続けています。

人とのつながりから本と出会う

 日本での今年の新刊点数は80,000冊だそうです。一人でそんなに本は読めない。そして、その中から自分の探している本を見つけるのは大変です。本屋さんで見つける?Amazonで探す?

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 東京の飲食店の店舗数も80,000店舗だそうです。自分のお気に入りのレストランやカフェを探すのも大変です。食べログで探すのは一つのやり方です。評価が高い飲食店を見ることで選択肢が少なくてすみます。

 人気のあるお店にはある傾向があります。メニューがない。例えば広尾の『ローストホース』、例えば恵比寿の『BBQ610』、例えば阿佐ヶ谷の『サトーブリアン』、吉祥にの『肉山』など(肉ばかり😂)。お店に身を委ねられるのはとても楽です。そして、それは信頼関係の上に成り立っています。

 人気のあるお店に通い続ける人たちはお互いに顔見知りだったりします。この人がいくお店だから美味しいに違いない。アンジャッシュの渡部建さんはその代表格ですよね。

 本もそのような信頼できる人たちだからこその「選ばない気楽さ」があっていいのですよね。それが『本のない本屋さん』におけるコンシェルジュの役割です。同じ本が好きな人だから信頼できる。

「本のない本屋さん」はクラウドファンディング準備中

 こんな本屋を作るため『本のない本屋さん』のクラウドファンディングの準備中です。メンバーになりたい人、コンシェルジュになりたい人、一緒に運営したい人を募集中です。メンバーが500人を超えたらクラウドファンディングをはじめる予定です。

この記事はService Design Advent Calenderの一部として参加しています。いろんなことがサービス化されています。本もきっとサービス化されるでしょう。『本のない本屋さん』はサービスデザイン的には本のサービス化です。本がサービス化された時、本は人と人とのつながりの側面を強く持つようになると思います。そして、それが『本のない本屋さん』の目指す姿です。

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