カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

書評

書評|アメリカ海軍特殊部隊から学ぶデザインとリーダーシップ|"The Dichotomy of Leadership" by Jacko Wilink

企業ではいろんな事業やプロジェクトに取り組みますよね。中には、その企業の存続を左右するようなプロジェクトもあるかもしれません。でも、人は死にませんよね。会社が倒産して、そのために社員が路頭に迷って、間接的に人の生死を左右することはあるかも…

書評|日本ではわかりづらいRedditを理解するためのテキスト|"We Are the Nerds" by Christine Lagorio-Chafkin

Redditって有名だし、英語圏でビジネスをするならチャネルとしても無視できない。2019年1月時点でのAlexaのランキングでは18位。FacebookやTwitterのような定番以外にグロースハックをやるならRedditは検討しなければいけないチャネルの一つです。Reddit hug…

書評|自分のペースで仕事をする大切さ|"It Doesn't Have to Be Crazy at Work" by David Heinemeier Hansson and Jason Fried

いきなり個人的なことですが、ボクは最近になって日本企業で働いています。これまでずっと外資系企業に勤めたり、海外でスタートアップやったりしていたので、日本企業で働くのは本当に初めてのことです。で、これが驚くほどに快適なんですね。なぜかといえ…

書評|スタートアップとベンチャーキャピタルの関係を説明したバイブル|"Venture Deals" by Brad Feld, Jason Mendelson

スタートアップ界隈では尊敬されている人たちがいます。今回紹介する"Venture Deals"の共同著者のブラッド・フェルドはその一人です。コロラド州のボルダーはスタートアップの活動が活発ですが、そのスタートアップコミュニティーを立ち上げる主役の一人がブ…

書評|現場のiPhone開発者が見たAppleの創造力の源泉とは?|"Creative Selection" by Ken Kocienda

Appleの株価は2018年8月に米国史上初の時価総額が10億ドル(1000億円)を超えました。そして、同年10月をピークにして、2019年1月にはアメリカで一位から三位まで転落してしまいました(一位はアマゾン、二位はマイクロソフト)。 Appleの想像力の源泉と言え…

書評|オッサンの言ってることは意外と正しいんじゃないか?|"Lab Rats" by Dan Lyons

今回紹介する著書のダン・リオンズさん。見ての通り、オッサンです。ずっと編集畑を歩んできて、リストラされる。心機一転、スタートアップ(Hubspot)の世界に飛び込んだもののやっぱりリストラ。スタートアップめ!ざけんじゃねーぞ!とスタートアップ界隈…

書籍|本当のマーケティングの話|"This is Marketing" by Seth Godin

顧客起点とよく言いますよね。本来であれば「マーケティング」というのは顧客のことを理解して、顧客が求めるものを作り、届けることです。「営業」は顧客の困りごとを理解し、その困りごとを解決する方法を紹介することです。 つまり、顧客起点とは顧客への…

2018年和書ベスト3冊|ベスト・オブ・2018

このブログのコンセプトは「イノベーションに効く世界の情報を日本語で」なので、日本の情報は取り扱いませんし、日本語で書かれた和書も取り上げません。それでも、ボクは日本人なので日本語で書かれた書籍も買いますし、読みます。英語の本に比べるとかな…

2018年洋書ベスト5冊|ベスト・オブ・2018

2018年に出版された英語圏の書籍で目立つトレンドをカタパルトスープレックス 的に総括すれば「揺り戻し」ではないかなと思います。『リーンスタート・アップ (原題:Lean Startup)』をさらに押し広げた『スタートアップ・ウェイ(原題:Startup Way)』や…

書評|『ブラック・スワン』脱落組がナシーム・ニコラス・タレブに再挑戦|"Antifragile" by Nassim Nicholas Taleb

ボクは本をいっぱい読むほうだと思いますが、頭がいいとは言えません。難しい本とか全然理解できません。その代表例がボクにとってはナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』です。もちろん、その骨子はわかりますよ。白鳥は白いと思っていたら突…

書評|OMOの生みの親が至るAIと愛の境地|"AI Superpowers" by Kai-Fu Lee

頭のいい人はフレームワークで考えて整理整頓するのが非常に上手です。今回紹介する"AI Superpowers"の著者であるカイ=フー・リーもその例に漏れず、AIを中国とシリコンバレーで比較するという入り組んだ題材をうまく整理しています。OMOというキーワードが…

書評|郊外から広がったヘロインとの戦い|"Dopesick" by Beth Macy

多くの日本人にとって麻薬とか覚せい剤とかコカインとかヘロインってピンとこないですよね。テレビや映画で出てくるもの。そういう意味ではアヴェンジャーズと変わらない。これがアメリカだとドラッグは日常とさほど離れていない存在となります。特に、都市…

書評|ダークウェブとビットコインを使った最大の犯罪のドキュメンタリー|"American Kingpin" by Nick Bilton

史上最大のダークウェブでの犯罪といえば闇売買サイト「シルクロード」ですね。このシルクロードについて日本語で一番詳しい記事はザ・ゼロワンの連載記事「史上最悪の闇サイト「Silk Road」黒幕裁判」でしょうか。ボクもこの連載をドキドキしながら読みまし…

書評|Google CEOのラリー・ペイジからU2のボノまで、豪華な朗読陣のビジネス書|"Measure What Matters" by John Doerr

ボクは洋書は基本的にオーディオブックで聞いています。オーディオブックは著者自身が朗読することがありますが、そんなオーディオブックを聞くと何だか得した気分になります。書いている本人が直接語りかけてくれるのですから。 ジョン・ドーアによるベスト…

書評|Googleも超えられない男性天国シリコンバレーの闇|"Brotopia" by Emily Chang

シリコンバレーというとイノベーションの中心地というイメージがありますし、実際にその役割を担っている部分もあります。しかし、全てパーフェクトなものはありませんし、それはシリコンバレーとて例外ではありません。 シリコンバレーは特に白人男性社会と…

書評|それでも世の中は良くなっていると言い続けないければいけない理由|"Enlightenment Now" by Steven Pinker

色々な事件が毎日のように起きます。世の中は良くなっているのか、悪くなっているのか?悪くなっているのだとしたら、進歩って意味があるのか?そういうことを考えたことがある人は少なくないのではないでしょうか。あのイーロン・マスクですら運命論者にな…

書評|Amazonから学ぶ4つのビジネスの成功要素|"Be Like Amazon" by Jeffrey Eisenberg

実証されていないイノベーションやビジネスモデルはワクワクします。将来のことだから。株価も将来の期待によって上下します。顧客や従業員を中心に考える企業は投資家からみれば、利益という自分の分前を取られていると感じますし、ワクワクしないのであま…

書評|新しい一般教養としてのビッグヒストリー|"Origin Story" by David Christian

日本における「一般教養」とはなんでしょうか。答えられる人はあまりいないのではないでしょうか。日本で「一般教養」は体系化されていないので誰も説明ができないのが残念なところです。しかし、世界にはすでに「一般教養」が体系化されているので、それを…

書評|クソみたいなことを気にせず幸せになる|"The Subtle Art of Not Giving a F*ck" by Mark Manson

I don't give a fuckというのは「そんなクソみたいなこと気にしねーよ」という意味です。 The Subtle Art of Not Giving a Fuckとは「クソみたいなことを気にしなくなるような小ワザ」という意味ですね。 クソは必ず道に落ちている。どのクソを気にして、ど…

書評|ハリネズミとキツネの大戦略|"On Grand Strategy" by John Lewis Gaddis

「戦略」という言葉はビジネスでも使われますが、元々は軍事用語です。第二次世界大戦以降は武力を使った大きな戦争は以前と比べて少なくなりましたが、戦略の重要性は低くなるどころか益々高まっています。 今回紹介する"On Grand Strategy"はアメリカの歴…

書評|AIとハサミは使いよう「あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠」|"Weapons of Math Destruction" by Cathy O'Neil

AIに関しては人間の役に立つと考える「肯定派」と人間をダメにする「否定派」があり、多くの人は態度を決めている「様子見派」なんじゃないかと思います。AIは所詮はツールなので使いようで、人に役立つこともできれば、人に危害を加えることもあります。包…

書評|インターネットとサブカルとオルタナ右翼|"Kill All Normies" by Angela Nagle

アンジェラ・ネーグルの"Kill All Normies"はオルタナティブ(特にオルタナ右翼)について書いた本です。最近のアメリカやヨーロッパのオルタナ文化を理解するのにいい本でした。ちなみにタイトルにもなっているノーミーはノーマルピープル(メインストリー…

書評|キャッチーなデータサイエンス本『誰もが嘘をついている』|"Everybody Lies" by Seth Stephens-Davidowitz【2018年夏休み読書週間】

自分が何をしているのか意外と意識できていないものです。自分で思ってるよりいい奴じゃないし、優れてもいない。昔は良かったということも実はあまりないですしね。多くの場合、悪かったことは忘れてしまってるだけです。 セス・スティーヴンズ=ダヴィドウ…

書評|Twitter創業者たちのエゴと魅力『ツイッター創業物語』|"Hatching Twitter" by Nick Bilton【2018年夏休み読書週間】

いろいろなスタートアップの成り立ちを調べてブログで書いていると、企業や人となりには(当然ながら)裏と表があると気がつきます。完璧なんてない。どれだけ素晴らしい業績を残した起業家も成人君主ではなく普通の人間です。 いわゆる会社公認の「創業史」…

書評|超えてはいけない一線を超えたスタートアップ史上最大のスキャンダル|"Bad Blood" by John Carreyrou【2018年夏休み読書週間】

スタートアップ史上最大のスキャンダルのひとつとして数えられるであろうセラノスの事件をその発端から現在に至るまで詳細に追いかけた一冊。 なぜこれほど多くの実績あるベテラン投資家や政府高官、企業役員たちがセラノスの不正を見抜けなかったのか。シリ…

書評|グロースハック本の決定版|"Hacking Growth" by Sean Ellis【2018年夏休み読書週間】

エリック・リースはリーン・スタートアップを書籍の形で世に出しましたが、グロースハックという言葉を2010年に生み出したショーン・エリスこれまでグロースハックの本を書いてきませんでした。グロースハックはショーンがコンセプトを発表した後に、アンド…

書評|大人ためのリーンスタートアップ『スタートアップ・ウェイ』|"The Startup Way" by Eric Ries【2018年夏休み読書週間】

イノベーションの実現を助ける手法としてリーン・スタートアップは有名です。用語としてMVPとかピボットとか聞いたことがある人もいるでしょう。『スタートアップ・ウェイ』は『リーン・スタートアップ』を書いて世の中にリーン・スタートアップを広めたエリ…

書評|不条理なゲーム開発の世界を垣間見る|"Blood, Sweat and Pixels" by Jason Schreier 【2018年夏休み読書週間】

ゲームの開発は他のソフトウェア開発とかなり違うため、なかなか理解するのが難しい分野です。今回紹介するKotakuの編集者ジェイソン・シュライアーの書籍"Blood, Sweat and Pixels"は普段垣間見ることができなゲーム開発の世界を紹介しています。 ここで紹…

【2018年夏休み読書週間】飲み物の話|水、ビール、ワイン、ラム、コーヒー

2018年の夏は暑いですね。暑い日には飲み物をたくさん飲みたくなります。今回は飲み物についてです。全くイノベーションと関係ありませんが、夏休みですし、読書週間の前半最期にこういう夏っぽいのもいいかなと。 トム・スタンデージ『歴史を変えた6つの飲…

書評|統計ではわからない「なぜ」の科学|"The Book of Why" by Judea Pearl【2018年夏休み読書週間】

ビジネスの現場ではデータを読み取って「なぜそうなるのか?」を考えたり、話し合ったりする場面は多くあります。知りたいのは「広告を出せば売上が伸びる」とか「この薬を飲めば風邪が治る」といった単純なことです。でも、これまでの統計学ではなかなかそ…